RTK測位 : 位置精度2cm (固定基地局方式)


RTK測位(Real Time Kinematic GPS :干渉測位方式) は2台の受信機(1つは固定基準局、もう一つは移動局)を使用して位置測定の精度を飛躍的に向上させる測位方法です。 これによりVBOX3i SL RTK システムは2cm CEPの位置精度を提供します。  [RTK測位の詳細な説明はこちらをご確認ください]





位置精度を2cmにすることで、車両運動性試験では正確な走行軌跡を取得したり、自動運転試験では交差点での車両位置の把握が可能になります。

<運動性能試験:レーンチェンジの例>


<自動運転試験:交差点での3台の車両の動き>


Racelogic社の提供するRTKシステムは次の機器により構成されています。

  • VBOX3i SL RTK100Hzデータロガー もしくは VBOX3iS RTK Speed Sensor
  • 固定基地局 (ベースステーション)
  • 無線機  (2.4GHz 特定小電力無線機) x 2台

固定基地局方式のメリット/デメリットには、以下の特徴があります。

<メリット>
ランニングコストが発生しない。
テストエリアの近くで補正電波を作成できるので、測位が安定する。
テストコース内で行う車間距離計測や軌跡計測に最適。

<デメリット>
使用できるエリアが、半径1.2kmに限定される。
市街地での試験には不向き。








VBOX3i SL RTK 100Hz データロガー 
[ 参考価格(税抜) 4,430,000円 ]

VBOX3i SL RTK は、RTK測位により位置精度2cm CEPの精度を提供することのできるVBOXです。 
VBOXシリーズの中で最上位のモデルです。

VBOX 3i SL RTK は従来の
シングルアンテナからツインアンテナに変更され、速度や位置・距離測定だけではなく、スリップ角ピッチ角の測定が可能になります。

また、ツインアンテナにより、
正確な車両方向を計測できるため、交差点でのITS試験やパーキングシステムの評価などの高い位置精度を求める試験も行うことが可能です。





Input 入力
Output 出力
特徴


  • 100Hz ハイスピード RTKツインアンテナGPS/GLONASSエンジン

  • RTKによる位置精度 2cm

  • スリップ角・ピッチ角の測定が可能

  • IMU 補正機能 (オプションのIMU04が必要です)

  • コンパクトフラッシュカードへの記録

  • USBインターフェース

  • 4 x 24bit アナログ入力(±50V)

  • 2 x CANインターフェース

  • 車両CAN入力が可能

  • 1 x ブレーキトリガー入力

  • 2 x アナログ出力

  • 2 x デジタル出力

  • Blue thooth インターフェース

  • 設定/解析ソフトウェアVBOXTestSuiteが付属

  • Racelogic社製オプションモジュールと組み合わせ可能

  • ブレーキ停止距離精度 ±1.8cm



測定パラメーター と 精度

  • 速度   0.1km/h

  • 時間   0.01s

  • 緯度・経度   2cm 95% CEP (RTK使用時)

  • 高度   5cm 95% CEP(RTK使用時)

  • 垂直速度   0.2km/h

  • 方位   0.1°

  • 衛星数   

  • スリップ角  0.25°(アンテナ距離 2m の場合)

  • ピッチ角   0.25°(アンテナ距離 2m の場合)

  • 前後加速度   0.5%

  • 横加速度   0.5%

  • 移動距離   <0.05%

  • 4 x アナログ入力   

  • 16 x CAN入力   

  • 1 x デジタルトリガー入力   10ns


VBOX3i SL RTK セット内容

  • VBOX3i SL RTK 本体 (VB3iSLR)

  • VBOXファイルマネージャー (RLVBFMAN)

  • モジュールケーブル (RLCAB005-C)

  • 100V AC 電源ケーブル (RLVBACS020)

  • 5.3 ~ 30V DCシガーライター電源ケーブル (RLCAB010L)

  • GPS and GLONASSアンテナx2(RLACS156)

  • アンテナケーブル 4mx3 (RLCAB071-4)

  • Bluetoothアンテナ (RLACS119)

  • 4GBコンパクトフラッシュカード

  • シリアルケーブル (RLCAB001)

  • 25ピンDコネクタ 加工用 (ADC25IPCON)

  • 運搬ケース (RLACS013)

  • USBケーブル 2m (RLCAB066-2)

  • 音声入力マイク (RLACS120)

  • CFカードリーダー

  • テープメジャー

  • メーカー校正証明書

  • ソフトウェア各種





サンプルデータ

VBOX3iSLRで、自動駐車の評価を行ったデータ。
左下のデータは上から順に、速度・車両方位(デュアルアンテナから)のデータ。
画面右下は、走行軌跡に車両の輪郭、駐車枠を重ね合わせたものです。
Video VBOX Proを同時に使用すると、画像も同期できます。(右上)




[VBOX3i SL RTK カタログ_日本語]
[VBOX3i SL RTK マニュアル_日本語]
[VBOX3i SL RTK 設定手順書_固定基地局方式_日本語]

本製品はデモ機のご用意があります。








VBOX 3iS RTK Speed Sensors 100Hz
[ 参考価格(税抜) 3,340,000円 ]

100Hz の RTK GPSエンジンとIMU(3軸加速度計+3軸ジャイロ)、車輪速補正を搭載した速度・位置センサーです。
RTK測位による2cm精度の位置、速度、加速度、移動距離などを計測して、お持ちのロガーに出力します。また、ADASテストシステムのTarget ユニットとして利用することも可能です。

計測したすべてのデータは、CANで出力することができます。(データロガーの機能はありません。)
本体に加えて、ケーブルの購入が必要です。


速度精度 ±0.1km/h
位置精度 2cm 95% CEP
ブレーキ停止距離精度  ±1.8cm
時間遅れ 15.5 ms


[VBOX3iS RTK Speed Sensors カタログ_英語]
[RTK専用ケーブル図面] [ ケーブル参考価格(税抜) 154,000円 ]











固定基地局 【RLVBBS6】
[ 参考価格(税抜) 3,000,000円 ]

固定基地局(ベースステーション) は、GPS の位置精度を向上させるための補正データを生成して配信するシステムです。 

対応する衛星:GPSL1/L2/L1C/L2C, GLONASS L1/L2, Galileo E1/E5a/E5b, BeiDou B1/B2

対応する補正情報:RTCMv2, RTCMv3, CMR, RTCM v3.2 MSM4, MSM7



生成された補正データは、2.4GHz無線機によってVBOX3i SL RTKへ送信されます。 システムは、バッテリー内蔵の本体(黒ボックスの機器) とGPS アンテナ、5.5mポールで構成されています。 
固定基地局は、試験エリア付近に設置して使用します。 

接続した無線機(日本向け製品)の飛距離は1.2km程度となるため、その範囲内にVBOX3iSLRTKを搭載した車両がいる必要があります。
使用中は、固定基地局のGPSアンテナの位置を動かすことはできません。

電源は内蔵LiMhバッテリーもしくは12V DC を利用できます。





[Differential Base Station カタログ_英文]
[Differential Base Station マニュアル_英文]

本製品はデモ機のご用意があります。







無線機
[ 参考価格(税抜) 385,000円/台 ]

無線機はRTK 測位において、補正データを固定基地局からVBOX3i RTKへ送信するために使用します。

2.4GHz帯 - 特定小電力無線のライセンスを取得しているため、申請不要で利用できます。
固定基地局用の無線機の飛距離は1.2km程度です。


本製品はデモ機のご用意があります。







市街地でのRTK測位 :位置精度2cm (電子基準点方式)


固定基地局を使用せず、携帯電話通信を利用して補正信号を取得し、市街地などのより広域で2cm 精度を達成する方式です。
電子基準点方式では(正式には仮想基準点方式)、VBOX3iSL RTK にKDDI携帯電話モジュール(CPTrans)を接続して補正情報を受信します。
市街地での試験に最適なアプリケーションです。

電子基準点サービスは、弊社の提供するサービスではありませんので、料金体系等の詳細はジェノバ社のWEBをご確認ください。
http://www.jenoba.jp/index.html

注) 電子基準点もしくは固定基地局を利用したRTK測位は、周りの環境に影響を受ける測位方式です。
補正電波が届いても、近くにビルが建っていたりする場合は、2cmの精度が達成できず、40cmや3m精度に劣化します。
IMU補正や車輪速補正をを利用すると、一時的に衛星が遮断されても精度を維持することが可能です。

注) 電子基準点によるRTK測位を利用する場合は、月々のジェノバ社への通信利用料が発生します。




電子基準点によるRTK測位システムは、最低限として次の機器が必要です。

  • VBOX3i SL RTK 100Hzデータロガー もしくは VBOX3iS RTK Speed Sensor
  • CPTrans (ボーレート 115200) [ 参考価格(税抜) 220,000円 ]
  • CPTrans収納BOX [ 参考価格(税抜) 240,000円 ]
  • JENOBAサービス利用料 [ 価格はこちらのサイトからご確認ください。http://www.jenoba.jp/index.html ]


電子基準点方式のメリット/デメリットには、以下の特徴があります。

<メリット>
高速道路等の開けたエリアであれば、市街地でテストが可能。
絶対緯度経度の情報が取得できる。
テストコースの周回路で行う車間距離計測や白線逸脱計測、軌跡計測に最適。

<デメリット>
ランニングコストが掛かる。



下の配線図は、オプション等を追加した場合の一例です。


[電子基準点によるRTK測位 カタログ_日本語]
[VBOX3i SL RTK 設定手順書_電子基準点方式_日本語]


本製品はデモ機のご用意があります。







市街地でのRTK測位 :位置精度 12cm (準天頂システム


昨今、非常に多くのお客様よりお問い合わせを頂いております準天頂システムに関して、ご案内させていただきます。
残念ながら、今のところVBOXに
準天頂(みちびき)対応のGPSシステムを搭載する計画はありません。


準天頂システムとは、日本上空にとどまる静止衛星です。

主な機能として、

  • 通常のGPS(USA製)と同じ周波数の信号を発射しており、追加のGPS衛星として利用できる。(これによる精度の向上はありません。)

  • 衛星信号を日本の真上から発射することができるため、ビル等による反射を低減できる。

  • センチメーター級(最高精度:移動体 12cm 95% CEP: 情報元 内閣府宇宙開発推進事務局)の補正情報CLASの配信がある。

※ 他にも機能がありますが、車両位置計測に関連する部分のみを紹介しています。



この中で、最もお問い合わせを頂く機能が、「センチメーター級(最高精度:移動体 12cm 95% CEP)の補正情報」ですが、原理は次のようになります。

1. 日本国内中に設置してある電子基準点を利用して、RTK補正電波を作成します。

2. 作成した補正電波を地上局から
準天頂衛星に飛ばします。

3.
準天頂衛星から車両等のGPS受信機に、補正電波を配信します。

4. 補正電波を受け取ることで、RTK測位を行い位置精度 12cm CEPとなります。








上記のプロセスから分かるように、実際のところ準天頂システムは、有料サービスで利用されている「電子基準点(携帯電話による受信)を利用したRTK測位」と同等のプロセスを持っています。

また、準天頂システムの目的は、カーナビ・携帯電話などの低価格帯のGPS受信機の一斉な精度向上であり、研究開発用の最高精度の計測機器の精度をさらに向上させる目的ではありません。




当社では、市街地でのRTK測位を希望されているお客様には、電子基準点方式のRTK測位(ジェノバ社のサービス)をご案内しています。

ジェノバ社の提供する電子基準点方式(正式には仮想基準点という方式を使用しています。)は、
位置精度 2cm 95% CEPが達成でき、電子基準点の情報を地上で処理して、地上で受け取るシステムです。 携帯電話の電波の入るエリアで使用可能で、現在のRTK測位の中で、最も精度が高く、広いエリアで利用できる手段となります。













市街地でのRTK測位 :電子基準点+IMU補正+車輪速補正


公道で、高い位置精度を取得する方法は電子基準点と準天頂衛星の2種類の方法がありますが、GPSの計測の分野において、衛星信号だけで東京等のビル群のあるエリアを高精度で計測することは、不可能です。

そのため、6軸の加速度計・ジャイロ等を組み合わせて、精度が劣化するエリアを補完する技術などが必ず必要になります。このような技術は、
ハイブリッド慣性航法装置と呼ばれ、今も研究が進められています。
GPS計測機器を選ぶ際は、テスト場所によって、補正技術の機能も考慮に入れる必要があります。


しかし、これらの技術で完璧に補完できる計測機器は、まだ、ありません。 航空機用などの大型で高価格な装置であれば、かなりの誤差が低減されていると言われております。

VBOXでは、車両用アプリケーションであることを活用して、新しく
「RTK-GPS」+「6軸の加速度計・ジャイロ」+「車輪速」の補正機能をリリースしております。(利用するには、ファームウェア V2.7以降の導入が必要です。)

「RTK-GPS」+「6軸の加速度計・ジャイロ」+「車輪速」の補正機能を利用すると、橋やトンネルなどのGPS計測が出来ないエリアでも、高い補正能力により、走行軌跡を適切に維持することが可能です。


サンプルデータ

高速道路を走行した例:

補正能力の特徴として、下図のような周りにビルが少ないエリアで、2cmの緯度経度計測が可能です。
補正を利用すると、高架下を通過してもブレることなく、高精度な緯度経度計測を維持することが確認できます。
条件として、高架下をくぐる前にRTK Fixedの状態になっており、通過後のエリアにもビルがなく、すぐにRTK Fixedの状態に戻れる環境である必要があります。




補正機能を利用すると、2cm精度のRTK測位が外れてから10秒間程度は、2cm精度を維持することが可能です。その後、徐々に精度が落ちてしまいます。 精度劣化は、RTK測位が出来ていない時間に比例します。 当社の実験では、7秒程度のトンネルを抜けても誤差はほとんどありませんでした。






ETCゲートの通過も、きれいな走行軌跡データが取れています。






ファームウェア V2.7の実力

横浜駅前の地下車寄せを走行した例:

下図は、横浜駅前の地下道を走行した例です。 テスト中、ほとんど衛星を測位していません。
緑のラインが、GPS+IMU補正のデータです。 赤のラインが、GPS+IMU+車輪速の補正データです。
図の左は速度の比較、図の右は走行軌跡の比較です。

速度に関しては、車輪速度を入力していますので、赤は正確な速度になります。 緑は、かなり暴れていますが、IMUだけで補正を行うのは非常に難しいことがわかります。
走行軌跡も、赤のラインは、正確にトレースが出来ています。 しかし、このトレースは2cm精度を維持したものではなく、±3m程度の誤差を持っている状態と推測されます。 走行軌跡から、どこを走っているかを知りたい場合には、おおよその情報を取得することが可能です。




東京首都高を1周走行した例:

恒例の首都高一周のデータを取得しました。 上記同様、走行軌跡から、どこを走っているかを知りたい場合には、おおよその情報を取得することが可能です。
しかし、1周のあいだ、一度もRTK Fixedには成りませんでした。 そのため、高精度での計測は出来ておらず、推定精度は±10m程度です。






2台のVBOXで車間距離計測を行った例:

最後に車間距離精度のチェックを行いました。 補正能力を確認するために、2台のVBOX3iSLR(IMU+車輪速補正)を1台の車両に取り付けています。そのため、アンテナ間距離の真値は0.90mです。
データを確認したところ、車間距離(Range-tg1) にのこぎりのようなノイズが出ていました。 また、トンネル通過後の精度もすぐに悪くなってしまっており、いまいちの結果でした。 今回の推定の車間距離精度は±0.7mです。
メーカーに確認したところ、V2.7では走行軌跡精度は良くなっているが、ADAS関連(車間距離・白線逸脱等)のパラメーターは、良くなっていないとのことでした。
車間距離計測の場合は、現状ではV2.6のIMU補正のみの方が、精度が良い状況になります。






RTKに対する次の開発計画


メーカーが現在行っているRTKに対する次のアプローチを、少しだけご紹介します。
現在、開発が進められているのは、RTK Fixedの安定度がより強固なGPS受信機モデルです。

下図は、開発テスト中のデータです。
建物の前(実際には、ホテルの雨除け付きの車寄せ)に入ってもRTK Fixedが外れず維持しています。




こちらの製品がリリースされましたら、またWEBや展示会等でご紹介させていただきます。